Purpose and meaning

米代川流域エリア産学官連携促進事業の目的と意義

 戦後から昭和50年代まで秋田県製造業をリードした木材産業は、少子高齢化などに伴う新設住宅着工戸数の減少、住宅の洋風化、外材シェアの増大などによる県産材使用量の減少から長期低迷を続けています。

 一方、戦後大量に造林されたスギ人工林は面積、蓄積ともに、全国一となっていますが、長期の需要低迷で間伐等の適切な管理が行われていないため、秋田スギを中心とした県産材の需要拡大と関連業界の振興は、環境負荷の少ない社会の実現とともに、本県にとって重要な課題の一つとなっています。

 その課題解決のため、平成15年度から実施した都市エリア産学官連携促進事業(連携基盤整備型)では、「産学官連携ネットワーク体制の構築」と「木材関連産業の技術力の高度化」の二つを主な目標に掲げて事業に取り組んできました。

 その結果、大学の研究者と企業の技術者との間に顔の見える密接な交流が生まれ、エリア内の企業が自主的に大学等の研究機関を活用して技術開発や製品開発を行うための連携基盤ネットワークが形成されたほか、可能性試験では、将来の業界及び地域振興につながる実用化可能な研究成果が生み出されました。

 しかしながら、当エリアの森林資源はなお成長しており、その成長に見合った利用が進んでいません。また、人口減少・少子高齢化の進行などに伴う新設住宅着工の低迷とともに、地域材需要の減少には歯止めがかからず、豊富な森林資源はむしろ過熟傾向を強めています。

 結果として森林によるCO2の吸収・固定機能の低下をもたらし、自然環境への負荷を増大させる事態になってしまいます。

 そこで、連携基盤整備型で得られた成果を事業化に結びつけ、秋田スギ等地域材の利用促進と環境負荷の少ない社会を実現するため、次の2点を主な目標とした共同研究を中心とする事業を実施することといたしました。

 ①秋田スギを主体とした森林資源の理想的な循環利用に向け、資源利用率の向上、化石エネルギー使用量の低減を考慮した、技術発信のできる親環境ゼロエミッション型木材関連産業の形成を図る。

 ②これまでスギ材が使われてこなかった部材への用途開拓、新たな木造建築構法開発や防耐火構造の提案など、実用的な新しい製品や建築構法を開発して、これを起業化に結びつけ、大都市圏・首都圏への秋田スギ等の地域材および木材製品の販路拡大を目指す。

 この事業を推進することによって、「木材は再生産可能な資源であり、木材の有効利用は森林・林業の再生や地場産業の振興発展を可能にし、山村地域の活性化にもなります。また、木材利用は地球の温暖化防止にもつながるため、木材産業はまさに“環境産業”である」という認識を共有することが可能となり、住民意識の高揚と環境産業の育成強化につながると考えています。

 さらに、当エリアには、林業・木材など特定の分野で相互に連結する企業群と学官などの関係機関群が地理的に近い範囲に集中しており、地場産業としての伝統的な産業集積がありますが、その活性化を図りつつ、秋田県立大学木材高度加工研究所が知の中核となって研究開発型企業と企業人材の育成を進め、金融機関との連携を強化して地域企業の第二創業を支援することによって、地域振興、森林資源の循環利用による環境負荷の少ない社会が実現が達成されます。